オーストリア&スロバキアな週末②~鉄のカーテンを越えて~ 便りがないのは良い便り~Pas de Nouvelles, Bonnes Nouvelles~ 忍者ブログ

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2024年04月26日
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オーストリア&スロバキアな週末②~鉄のカーテンを越えて~

2018年05月11日
さて、オーストリア&スロバキアな週末の続編です。



朝、バスに乗ってウィーンからブラチスラバへと向かいます。
バスはたった6ユーロでした。

スロバキア自体は、以前東部を訪れたことがあったのですが、首都ブラチスラバは初めて訪問します。わくわく。


夫が書いたスロバキア東部の旅行記はこちらをご参照:
西ウクライナ旅行記④〜番外編:スロバキア東部へ、天空の城ラピュタ!?〜


国境ってなんでこんなに楽しいんでしょうね。Google Mapを眺めながら、国境越えの瞬間を待ちます。
ウィーンとブラチスラバは距離にしてたった50km。世界で一番近い首都と言われています。
こんな近い二つの首都の間には、冷戦時代、鉄のカーテンがひかれていて、簡単には通過できなかった訳ですが、今では検問すらないというのが不思議です。


着きました。ブラチスラバ。

バスターミナルから、旧市街へ向かうのにタクシーに乗ったところ、運転手さんに英語が通じない…。

うーむ、困った。

仏英日中クアトロリンガルな母も、ここでは訳に立ちません。
身振り手振りで会話し、うっかり脳内言語スイッチの切替が上手くいかないタイミングで「Да(ダー/ロシア語のイエスですね)」と言ってしまったところ、運転手さんの目が輝きだして、「俺はロシア語ならできるんだ!なんでロシア語できるなら言ってくれないんだ!」と饒舌に…。
さすが、旧共産圏…そしてスラブ言語圏。おかげで、私はまた伝家の宝刀、目も当てられないへたくそな片言ロシア語でコミュニケーションをとるはめに…。

ハンガリーでも、空港からのタクシーでおじいちゃんドライバーと同じ経験をしたのですよね。
今まで自分がいかに西側しかみてこなかったのか、という事をひしひしと痛感します。
ロシア語話者は想像以上に広範囲にまたがっているのですよね。


さあ、なんとか旧市街にたどり着きます。お宿にチェックインすると、興味深いツアーのチラシが置いてあります。

いつか夫と来ようと思います。


まず到着してすぐ、ローカルバスに乗って、ある場所へ向かいます。
そう、城です。

目指すはデヴィン城。最初に建築されたのはどうやら9世紀ですが、何度も壊れて再築してを繰り返し、原型になったのは15世紀、そして19世紀にはナポレオンに爆破されたという城です。

 

冬季は城の中には入れないけど、敷地には入れるとの情報を確認していたので、行ってみたのですが、なんと閉まっている…敷地にすら入れない…。ちーん。

あいている時に行くとこんな感じの様です↓(勝手にリンクを張らせていただきました)
https://passaulife.blogspot.com/2014/04/blog-post_30.html

仕方がないので、城の周りの遊歩道を歩きます。

この城に惹かれたのは、見た目が好み(石の古い無骨な城)というだけではありません。
その立地です。みてください。
 

オーストリアとスロバキアの間を流れるドナウ川に、モラバ川がちょうど流れ込む地点にデヴィン城はあります。
そして、冷戦時代はこの川沿いに鉄のカーテンがしかれたわけですね。

 
たくさんの人が、この川を越えて、西側へ逃げようとして命を落としたそうです。
城の裏側、川に面した道を歩いていると、亡くなった人への追悼碑がいくつかあります。


今はオーストリアもスロバキアもEUとなり、シェンゲン協定に加盟したため、パスポートコントロールもなく、国境を越えられます。
不思議なものですね。

亡くなられた方々に黙祷して、ブラチスラバの市内へと戻るバスへ乗り込みます。


 
市内へ戻ってきました。まず、町のランドマーク、ブラチスラバ城へ。

この城には「ひっくり返したテーブル」というあだ名があります。
四隅の棟が、ちょうどひっくり返したテーブルの脚みたいですよね。

城の中は博物館になっています。我々は入らなかったですが。


城は岡の上にあります。ドナウ川を一望。

かの有名なクラシック曲、「青く美しきドナウ」を昨晩の睡眠前のBGMにしていましたが、ドナウ、あんまり青くないですね。夏に青空が反射したら「青く美しく」見えるのでしょうかね。


寒いせいか(この日は-7度です…)、空気が澄んで美しい。
 


城から市内へ下っていく小道も、冒険みたいでわくわくしました。




それから、お次はブルーチャーチ。こんな真っ青な教会も珍しいですね?

あんまり意識したことなかったですが、スロバキアはカトリックの国なんですねえ。
ひとくくりに東欧といっても、スラブ言語x正教、スラブ言語xカトリック等でもまた異なりますね。



しかしまあ、東欧の冬は本当に底冷え。寒すぎるので、夜は勿論飲みにいきます。
スロバキアといえば、ビールでしょ!修道院が運営しているというブルワリーへ。
http://klastornypivovar.sk/?lang=en



店内で醸造されたビール樽とサーバーを繋ぐ巨大なパイプが店内を横断しています。


うーん、スロバキアビール、おいしいいい!ライトで飲みやすいです。

ところでビールの名前の後ろに書いてある数字、最初はアルコール度数かな?と思ってたんですが、この軽さ、どう考えても10度以上もないぞ!?と思って、調べてみたところ…

チェコとスロバキアのビールに記載されている数字は、「バリング度」という、発酵前の麦汁の糖度を表す数値だとわかりました。このバリング度が高ければ高いほど、味が濃くなり、アルコール度数も高くなるようです。

またひとつ賢くなった!


お酒のお供はこちら。スロバキア料理の代表格、「ブリンゾベー・ハルシュキ」、ヤギチーズのニョッキです。なかなかの獣臭、そしてカロリーですが、美味しいです。黒胡椒たっぷりかけると美味しいです。



お腹もぱんぱん、寒い路地を駆け足で歩いて、宿へ戻り、就寝です。





翌朝、旧市街のお散歩にでかけます。旧市街はこじんまりとしてかわいらしいです。



いたるところにユニークな銅像がいます。このおじさんはランドマークな様です。
 


こちらはビロード革命の始点と言われる広場。



寒いので、広場にある「メッサーシュミット・カフェ」なるカフェでコーヒーを1杯。
http://www.messerschmidt.sk/index.php/en/

この彫刻、なんか見覚えあるなあ、と思ったら、前日のウィーンのベルヴェデーレ宮殿でみたやつとそっくりでは?と母と気付く。
 
メッサーシュミットという名前を聞いて、ミリ好きの方は、第二次世界大戦で活躍したドイツ空軍の戦闘機を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、このメッサーシュミットさんは、戦闘機のメッサーシュミット社とは関係のない、ハプスブルク家お抱えの彫刻家だったのです(パリのルーブル美術館で特別展が開かれた事も)。

なんでウィーンにいた人のカフェがブラチスラバに?と不思議に思い、調べると、どうやら彼はブラチスラバで亡くなったそうです。

Messerschmitt、で画像検索していただくと、本当に個性と表情豊かなマスクの彫刻がたくさん表示されます。
興味のある方はこんな動画も。
https://vimeo.com/14909282


ちなみに、このカフェの奥には、無料の小さな「ビロード革命博物館」があります。興味ある方はぜひ。

チェコとスロバキアがどうやって独立していったのかを、時系列に写真とともに展示しています。
ドプチェクってスロバキア出身だったのですね。なんとなくチェコだと思ってた。



最後に訪れたのは、ユダヤ文化博物館。
http://www.slovak-jewish-heritage.org/jewish-museum-bratislava.html



東欧のユダヤ人の歴史が壮絶なものである、という事は勿論ある程度は理解しているつもりでしたが、思った以上でした。
スロバキアは第二次世界大戦中、ユダヤ人の7割が強制収容所へ、生き残ったわずかな人々も、ほとんど国外へ移住したという国でした。

欧州でユダヤ系の博物館や建物を訪れると、大抵は厳しいセキュリティチェックが入口にあります。
しかし、ここはゆるゆる。そこでポツリと母が呟きます。
「もしかして、脅威だと思われないほど、スロバキアのユダヤ人は微小な、非力な存在になってしまったのかも。だからセキュリティチェックも必要とされないのかも。それって、もしかして憎まれる事より悲しい事かもしれないね。」と。

展示品も、ナチスドイツが資料として押収したユダヤ人の生活雑貨、移住した人々からの寄贈品等から構成されていて、当時生きていた人の生活を推し量る事のできる品物はほとんどないのがショッキングでした。


ちょっと落ち込んで、ブラチスラバ、そして母とお別れ。
ブラチスラバ空港からキエフへ直行便で帰ります。(1時間でついた!)


東欧はやっぱり点で考えるのが難しい、面で考えなくてはいけないんだなあと思わされた旅でした(主にメッサーシュミットを通して笑)。

あと、知識はあればあるほど、旅が楽しくなる。もっと勉強せねばなあ、と痛感。

さあ、次はどこへ行こうか。楽しみは尽きない。




<<拍手のお返事>>
>尚美様
ひっそりと未だカフェめぐりを続けておりますが、人にお勧めしたくなるカフェも多いです。
7月はとても良い季節です。素敵な滞在となりますように!

>mkparis様
そうですね、全ての作品が目の見えない方対応はしている訳ではありませんが、それを求めるのも無理があろうかと思います。
シュニッツェルは他のお店で食べたときは巨大でした。単にザッハのサイズが謙虚なのでしょう。。。






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