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ユダヤ人の巡礼地ウマニへ

2017年08月10日
私には血の繋がらないユダヤ人の叔母がいる、という話はこのブログでも何度かふれてきましたが、彼女から聞き、そしてLonely Planetで読んで、ずっと気になっているウクライナの街がありました。

それがウマニ(Умань)です。

ウマニは、キエフから車で南方に約2時間半(約200km)ほど進んだところにあります。


なぜ有名なのか。
それはこの街には、ユダヤ人に人気のラビ(ユダヤの宗教的指導者のこと)のお墓があるからなんですね。それゆえ、沢山のユダヤ人が世界各国から、なんとその数1万人超!が、ウマニに巡礼に来るとのことなのです。



確かにユダヤ歴のお正月(9月ごろ)になると、キエフの空港は全身真っ黒な服を着たユダヤ人の家族でいっぱいになるのです(乗ったフライトの9割が黒装束の方だったことがあります…)。
巡礼のために来ていたのですね。


というわけで、「ウマニにいってみたい!」と言い続けていたら、仲間が増えたので、スーパーご近所な4人でウマニへ日帰り散策しに行きました。


出発進行!



道中にはベリー売りのみなさんが。



ナビにしたがっていくと、めちゃくちゃガタガタ・ボロボロの坂道があらわれます。本当にここなのだろうか…?と思いつつも、進みます。




すると、なんということでしょう!ポスターが!突然ヘブライ文字に!!!


レストランも、看板もみんなへブライ文字!!!ここは・・・どこ!?まさかイスラエル!?と錯覚するような空間に出てしまいました。

※ヘブライ語ではなく、イディッシュ語なのだと思います。



うろうろしながら、ようやく見つけたシナゴーグ(ユダヤ人にとっての教会ですね)。どうやらここが聖地と呼ばれる場所のようです。セキュリティのおじさんが1人いますもんね。



よく見ると、注意書きが4言語~ヘブライ/イディッシュ(←私にはどちらか判別できず)、フランス語、英語、ロシア語~で書かれています。これは、いかに多くの国から、この場所を訪れる人がいるのか、という証明のようで、わくわくしてきます。



シナゴーグの中は男女別々になっています。男性は左側、女性は右側の細い通路を進みます。



本当に細い…。前には1人、訪問者と思われる女性が歩いていきます。



このシナゴーグ随分老朽化が進んでいます。ここが聖地…と呟きたくなるほど。

さて、ここに埋葬されているラビ、ナフマンという人は一体どういう人だったのでしょう?
Wikipediaによれば、「ブレスラフ派と呼ばれるハシディズムの一流派を創設した人物」及び「現在では宗派や信条の違いを超え、ユダヤ教で最も人気のあるラビの一人」とあります。
ハシディズムはユダヤの超正統派活動のことですね。

私のガイドブック(仏語版Lonly Planet←情報量では超優秀です)や、後述する赤尾先生の論文による情報をまとめると、ナフマンは1802年にウマニに移住し、自らを指導者とするブレスラフ派を創始、38歳という若さにして結核という不治の病におかされた彼は、死の淵、彼の墓を参るものを誰でも救い、守護すると約束したそうです。

ウマニという地を死地に選んだのは、この地がウクライナにおける最悪のポグロム(東欧におけるユダヤ人への迫害のこと)の一つとして多くの犠牲者を出した地だから、と言われています。
1768年、ウマニの約2万人のユダヤ人とポーランド人貴族が、ウクライナ人(主にコサック兵やポーランド人貴族の支配に反発したウクライナ人達)によって虐殺されたとされていて、ナフマンはこの彷徨える殉教者達の魂を慰めたかったのだと言われているそうです。

このあたりは私の付け焼刃な知識ですので、もっと知りたい方は、本記事の終わりに参照論文等を記載しておくので、適宜ご参照ください。




さてさて、予習はこのへんで。



これが建物の入口(私が思いっきり写っちゃってますね。ははは。)で、入ると小さな給湯コーナーみたくなっていて、もう一つ扉を開けないと、中には入れません。扉には中での注意事項が色々と書かれています。



中に入ると、管理者らしきおばさんに、巻きスカートを渡されたので着用。(無料でレンタルしてくれます。ロングスカートじゃない方は着用必須です。私はジーパンの上から巻きました。)

十数人の女性達が、祈ったり、勉強したり、おしゃべりしたりしています。
さて、ラビのお墓はどれでしょう…?


お勉強コーナーには、トーラーが沢山置かれた本棚が。
 



奥に進むとありました、ラビ・ナフマンの棺。
女の子が泣きながら体を預けているのが、その棺です。エルサレムでダビデ王の墓を見たので、ぴんときたのですが、もし訪問していなかったら、これが棺と気付かなかった可能性もあります。イスラエルを訪問しておいて良かった…。

棺の半分は女性エリア、もう半分からは男性エリアからふれられる様になっています。



こうして、涙を流しながら祈る女の子もいれば、もくもくと座って本を読んでいる人もいれば、棺の前で集まって自撮りしているおばちゃん集団もいて、厳かというより、庶民的?雑多?という印象を受けました。


おばちゃん集団のおしゃべりに耳を傾けていると、フランス語である事に気付いたので、思わず話しかけてみました。
「フランス語を話されていますが、フランスから来たんですか?」
すると、おばちゃん達、こんなウクライナの田舎町でフランス語で話しかけられるとは思わなかったのか、驚いていっせいに喋りだします。
「違うのよ!私達イスラエルから来たの!」
「あなたも祈りにきたの?ここは偉大なラビのお墓だもの!」
「え?ユダヤ人じゃないの?でも、ここを知っているなんて素晴らしいわ!」
等々、おしゃべりおばちゃん達ノンストップ。

そして、ユダヤ人の叔母が言っていた、最近フランスでアンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)が高まっており、シナゴーグやユダヤ人への襲撃が相次いでいるため、恐れてイスラエルに移住する人が増えている、という話を思い出していました。
もしかしたら、おばちゃん達は、第二次世界大戦前後の迫害を受けて、移住した人たちかもしれないけど…。
(そして、昔パリで叔母に連れていかれた「アンチ・セミティズムに反対するデモ」のことを思い出しました。私の生まれて初めて参加したデモでした…。)


シナゴーグ滞在時間はたった15分くらいでしたが、自分が何処に居るのかわからなくなる、不思議な時間でした。



このウマニという場所について、歴史的背景含め、もっと詳しく知りたい方は、赤尾先生という方がいくつか論文を書かれているので、ご参照ください。Webに載っているものは↓に載せておきます。私もこれらを読んで予習させて頂きました。
(論文内の地図がお役立ちです。この地図がなかったら、たどり着けませんでした笑。)

1)「ウマン巡礼の歴史―ウクライナにおけるユダヤ人の聖地とその変遷―」
2) 「「帰郷」の中のディアスポラ―ウクライナにおけるユダヤ人巡礼と競われる二つの聖地 ―」


また、ナフマンが残した言葉がまとめられたサイトも発見したので、興味ある方はどうぞ。
ラビ・ナフマンの言葉




さて、小難しい話は終わり!ウマニで有名なものは、もう一つあります。
それが、ソフィーウカ公園!ウクライナ人に「ウマニに行きたい」というと、大抵は「公園でしょ?」と言われます。(ラビのお墓は少数派…)

ウマニは長らくポーランド領であったのですが、ポーランドの伯爵が美貌で有名だった愛する妻の為に作ったとされる公園が、このソフィーウカ公園です。奥様の名前がソフィーさんだったんですね。(調べたら3番目の奥さんだそうです。)


にぎわっています!お土産の出店がいっぱい。マグネットコレクターのわたくしは、もちろん一つ買いました。



面白かったのはこちら。約150円くらいで、ソフィー様になりきる衣装の貸し出し笑。
(服の上からの超簡単着用で1分で着れて、めちゃくちゃ沢山種類があります。)
伯爵になれる衣装も勿論ありますよ!ちなみに伯爵はスタニスワフ・シュチェンスヌィ・ポトツキ伯というお名前だそうです。

お店の人いわく、ソフィー伯爵夫人は、月曜日は赤いドレス、水曜日は緑色のドレスを着ていたそうです。友人と二人で着たんですが、緑ドレスを着た友人の承諾をとってないので、ひとまず赤いドレスの私の単独写真だけ載せます。インスタに載せたら友人達に大好評でした笑。


洞窟もありました。入ると、奥が滝になっています。マイナスイオンでてそう。


カップルや家族連れ、友達同士がみな、セルフィーのベストショットを求めてうろついています。


ボートを借りることもできます。白鳥が優雅に泳いでいるのを横目に、ぶらぶらと歩く我々。


花が咲き乱れ、美しいです。はー、心が癒される。

ざっと一周するのに1時間以上かかりました。ピクニックなんかに良さそうです。

そんなこんなで、公園とウマニ別れをつげて、キエフへの帰途についたのでした。
さて、これにてウーマニ訪問記終わり!マニアックな記事になってしまいましたが、ご容赦を!


(余談:ところで、調べたらウクライナ海軍のミサイル艇にも「ウーマニ」って名前のやつがあるそうです。)



ウクライナにおけるユダヤ関連情報に興味のある方は、以下の過去記事も良かったらご参照ください。
「バビ・ヤール」
キエフでのツアー情報なんかをチェックすると、ユダヤにゆかりのある場所巡りのツアーなんかもあります。


イスラエル訪問記も参考までにリンク残しておきます。
◆イスラエル旅行記
イスラエル訪問記①~地中海を臨むおしゃれ町、テルアビブ~
イスラエル訪問記②~3大宗教の聖地、いざエルサレムへ~
イスラエル訪問記③~エルサレム旧市街とパレスチナ、聖地巡り~
イスラエル訪問記④~ユダヤ関連あれこれ~





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